顎変形症

東京医科歯科大学

東京医科歯科大学大学院顎口腔外科学分野顎変形症グループ

わたしたちは、あごの成長異常によって生じるかみ合わせの異常の診断と治療、研究を行っています。

担当医 高原楠旻、佐藤百合子、樋口佑輔、木村 敦

がくへんけいしょう顎変形症とは

顎変形症とは上あご(上顎骨)または下あご(下顎骨)あるいはその両方の大きさや形、位置などの異常によって、顔面の変形と、かみ合わせの異常を起こしている状態をいいます。代表的な顔貌(がんぼう)写真は1.2.3に示す様な方です。かみ合わせもそれに伴って悪化しています。

手術と一緒に矯正治療(外科的矯正治療)が必要とされるようなアゴのバランスの異常を認めた場合に「顎変形症」と診断されます。顎変形症の場合の矯正治療、手術には保険が適用されます。その診断は当院では主に、矯正歯科医が行っております。

顎変形症の代表症例

  • 1.下顎前突下顎前突
  • 2.顔面非対称顔面非対称
  • 3.上顎前突上顎前突

顎変形症治療に求められるもの

  • 審美的障害の改善
  • 咬合咀嚼機能の改善
  • 精神心理障害の改善

咬合咀嚼機能の改善を主訴に外科的矯正治療を希望する患者は審美的障害の改善などを求める患者に比べれば少ないと言うが...
(顎変形症治療アトラス・医歯薬出版)

当院での顎変形症治療の流れ

治療時期について

矯正歯科医や施設により色々な考え方がありますが、成長期の終わった17~18歳以降から30歳代までに行うことが多いです。近年では40歳代、50歳代での手術も増えています。

治療計画について

診断は主に矯正歯科で行ないますが、手術計画は、矯正歯科医と相談の上、口腔外科で検討します。

通常は規格頭部X線写真およびCT、更に咬合模型、顔貌を総合的に判断して手術方針を決定します。

骨格基準点のグラフ:青線が患者の骨格基準点

赤線が術後

CTで神経の走行等を検討

実体石膏模型での骨切りシミュレーション

当主な骨の動かし方(代表的なケース)

当科で行う手術は、原則として手術後に上下のあごを針金で結び付けてしまうこと(顎間固定)を行わないように工夫しています。

このことで手術後、気道閉塞(のどが詰まって呼吸ができなくなってしまうこと)等の危険性が減少し、食事、会話等の日常生活の不便さをかなり解消することができます。

また、手術の際に使用するプレートやスクリューはすべてチタン製のものです。チタンは骨に非常になじみがよく、現在のところ安全性の最も高い金属です。

上顎骨骨切り(ルフォーⅠ型骨切り)

下顎骨骨切り(下顎枝矢状分割術)

(左:術前、右:術後6か月)

当科における手術症例数

当科では顎変形症手術を年間約40例施行しております。主な手術の内訳をグラフに示します。

術後のフォローアップについて

顎変形症専門外来

金曜日の午後1時から(顎変形症患者の予後調査、術後3ヶ月、6ヶ月、1年、2年)

より良い治療を目指して

当科では顎変形症のよりよい治療を目指して次のような活動を行っています。

  1. 顎変形症患者の術前症例検討(矯正歯科医との合同カンファレンス)
  2. 顎変形症患者の予後調査
  3. 診断・術式・治療法の改良ならびに開発
  4. 顎変形症患者の手術前後の顎関節に関する調査、研究
  5. 顎変形症患者の術後神経障害に対する評価方法の開発、予防へ向けての研究
  6. FGFを用いた仮骨延長に関する実験的研究
  7. 顎変形症患者の術前術後の心理学的調査
顎変形症合同カンファレンス
(矯正科との合同カンファレンス)
月2回程度金曜日の午後3時から(専)顎口腔変形疾患外来にて
顎変形症グループ勉強会
(予後調査来院症例の検討および論文抄読)
毎週木曜日の医局会終了後から