口腔がん治療

東京医科歯科大学

こうくうしゅよう口腔腫瘍グループ

担当医 原田浩之、道 泰之、富岡寛文、平井秀明、黒嶋雄志、釘本琢磨、及川 悠、大迫利光、西井直人、清水六花

当分野の口腔腫瘍グループでは、口腔、あご(顎)、顔面ならびにその隣接組織に生じる腫瘍を扱っています。

標準的なガン治療をもとに、それぞれの患者さんごとに最良の方法を呈示し、専門性の高い治療を行っています。また、基礎研究や臨床研究も積極的に行い、治療成績および術後機能の向上に努めています。

当科の口腔がん治療の特色

口腔、顎、顔面領域の疾患は、見た目をはじめ、食事や会話などの、日常生活を送るうえで非常に重要な機能に影響があります。治療にあたっては、病気の治癒だけでなく、失われた形や機能をいかに自然に近い形で取り戻すかを重要視しています。

対象疾患

悪性腫瘍(がん)

舌がん、歯肉がん、口底がん、頬粘膜がん、硬口蓋がん、唾液腺がん、口腔領域の肉腫や悪性黒色腫、悪性リンパ腫など。

良性腫瘍

歯原性腫瘍 エナメル上皮腫、歯牙腫、粘液腫など
上皮性腫瘍 乳頭腫など
非上皮性腫瘍 線維腫、血管腫、リンパ管腫、神経系腫瘍(神経鞘腫、神経線維腫など)、骨関連疾患など
唾液腺腫瘍 多形腺腫、ワルチン腫瘍、筋上皮腫など

口腔がん治療の主な実績

高齢化に伴って、他のがんと同様に口腔がんの罹患数も増加しており、年間8,500人を超えると予測されています。

当科では、口腔がん、もしくはその疑いのある方を、関連病院をはじめ多くの病院よりご紹介いただいており、取り扱う口腔がん患者数は年間約220名にのぼり、国内有数となっています。早期がんから進行がんまで幅広く治療しております。また、前述のように治療後の生活の質(QOL: quality of life)の維持にも努めています。

がんの進行度は、その大きさや周囲の組織への浸潤度合、転移の状況などからステージ1からステージ4の4段階に分けられますが(ステージ1から4に進むにしたがって進行がんとなる)、当科で治療した患者さんの5年生存率はステージ1が96.6%、ステージ2が97.1%、ステージ3が92.3%、ステージ4が81.7%と良好な成績を得ております。

治療法については、患者さんごとにがんの悪性度や進行度を考慮し、最良のものを提案させていただきますが、現在の病状や、他の選択しうる治療法についても、それぞれのメリット、デメリットなどを含めて十分に説明し、納得していただいたうえで決定しています。

外来診療

毎週、火曜日の午後と金曜日の午前・午後に口腔腫瘍の専門外来を開設しています。治療前の診察・診断だけでなく、治療後の定期診察を複数の口腔がん専門医により行っています。治療後もCT、MRI、超音波診査、PETなどの画像診断を用いて、厳重な経過観察を実施しています。経過観察期間には制限はなく、診察を中断することはありません。

当科では、専門医が様々な疑問・質問・相談に応じています。お気軽にご連絡下さい。